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東京地方裁判所 昭和60年(ワ)9522号 判決

原告

竹内正直

原告

竹内晃

原告

溝口節子

原告

島津敏子

原告

竹内庸浩

原告

鈴木敬子

原告

池田淳子

原告

竹内芳郎

右原告ら訴訟代理人弁護人

佐々木務

被告

平岡髙志

右訴訟代理人弁護士

田島純蔵

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は原告らに対し、金二〇八三万六八四一円及びこれに対する昭和六〇年八月二八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告らは、いずれも、訴外亡角勝馬(以下「訴外勝馬」という。)の兄にあたる訴外亡竹内直光の子であり、原告らの他に訴外勝馬の相続人はいない。

2  訴外勝馬は、昭和五八年六月二七日、死亡した。

3  被告は、東京法務局所属公証人坂上吉男作成昭和五八年第二六六号遺言公正証書(以下「本件公正証書」という。)による遺言(以下「本件遺言」という。)によって遺言者訴外勝馬から遺言執行者に指定され、同人が死亡した後、遺言執行者としての就職を承諾した者である。

4  訴外勝馬は、同年四月二一日、別紙遺言目録記載のとおりの本件遺言によって、原告らに対して、同人の有する現金及び預金の合計額から葬儀費用等の費用を差し引いた残金額を遺贈した。

5  訴外勝馬の相続財産のうち現金及び預金の合計額は金二四七八万二二七九円であるところ、被告は、遺言執行事務を処理するにあたって、これから訴外勝馬の葬儀費用金三五七万六八九八円及び同人の債務金三六万八五四〇円を差し引いた金二〇八三万六八四一円を受け取った。

よって、原告らは、本件遺言に基づき受遺者として、選択的に、民法一〇一五条、一〇一二条二項、六四六条一項に基づき相続人として、遺言執行者である被告に対し、合計金二〇八三万六八四一円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である昭和六〇年八月二八日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

すべて認める。

三  抗弁

1  原告らと本件遺言の受遺者との間の合意

(一) 昭和五八年一二月中旬頃、原告らと本件遺言の受遺者である訴外井上いはほ及び同宮原孝子(以下、「訴外井上」及び「訴外宮原」といい、右両名を併せていうときは「訴外井上ら」という。)との間で、訴外勝馬の相続財産について、次のとおりの合意が成立した。

(1) 遺産のうち金一六〇〇万円及び原告らの相続税負担金を原告らの分とし、他は訴外井上らの分とする(原告らの内部割合は原告ら間の協議による)。

(2) 訴外井上らについての税金その他遺言書記載の費用が残余の預金・現金等を超えても、訴外井上らは原告らに請求しない。

(3) 原告らも、遺言書記載の費用を差引き、訴外井上らに残余があっても、訴外井上らに請求しない。

(二) 被告は、右同日頃、右合意を承認した。

(三) 被告は、原告らに対し、同月二八日頃、金一六〇〇万円を支払い、その後、原告らの相続税を支払った。

2  現金・預金額の残額の不存在

被告は遺言執行事務を処理するにあたって、次のとおりの費用を支払った。

(一) 昭和五八年度所得税及び地方税 金五八万八〇〇〇円

(二) 原告らへの支払(抗弁1(三))金一六〇〇万円

(三) 不動産取得税 金七一万四七二〇円

(四) 税理士への礼金 金一一〇万円

(五) 土地分筆、所有権移転登記費用 金一〇五万円

(六) 遺言執行者への報酬 金一〇〇万円

(七)相続税 金三八八万四九〇〇円

(八) 原告らへの預け金 金一一万六五〇〇円

合計 金二四四五万四一二〇円

四  抗弁に対する認否及び原告らの主張

1  抗弁1の事実のうち被告から原告らに対して、昭和五八年一二月二八日頃、合計金一六〇〇万円が支払われたことは認め、被告が原告らの相続税を支払ったことは知らない。その余は否認する。抗弁1の合意は訴外勝馬の相続財産についてなされたものではなく、訴外勝馬かその所有していた建物(東京都渋谷区恵比寿四丁目三四番七所在、家屋番号三四番七の二、木・鉄骨造陸屋根スレート葺三階建工場・居宅・車庫、一階 13.12平方メートル、二階 49.67平方メートル、三階 27.74平方メートル、以下「本件建物」という。)を訴外塩生忠(以下「訴外塩生」という。)に売り渡した際、被告に預けられた裏金一六〇〇万円についてなされたものである。

また、仮に、右合意が訴外勝馬の相続財産についてなされたとしても、遺言執行者がある場合に、相続人が相続財産についてした処分行為は無効である(民法一〇一三条)から、被告の抗弁1は失当である。

2  同2の事実のうち(三)は認め、(一)、(四)、(五)、(七)は知らない。その余は否認する。

なお、右のうち(四)、(六)、(七)の支払については遺言執行者の遺言執行事務処理の範囲外である。

第三  証拠〈省略〉

理由

一請求原因事実はいずれも当事者間に争いがない。

二そこで、抗弁1(原告らと本件遺言の受遺者との間の合意)について検討する。

1  被告から原告らに対し、昭和五八年一二月二八日頃、合計金一六〇〇万円が支払われたことは当事者間に争いがなく、右争いのない事実に、右争いのない請求原因2ないし4の各事実並びに〈証拠〉を総合すれば次の各事実が認められる。

(一)  訴外勝馬は、明治三〇年五月に生まれ、昭和三七年頃から、有限会社晃陽及び有限会社東陽ウエルズ研究所を設立、経営していたものであるが、昭和五八年四月一八日、同居し内縁関係にあった訴外井上及び右有限会社東陽ウエルズ研究所の従業員であった訴外塩生とともに、遺言及び遺言書の作成について相談、依頼するため、知り合いの弁護士である被告の事務所を訪れた。そして、訴外勝馬は、被告に対し、本件遺言と概ね同内容の希望を述べたうえ、本件遺言によって、(1)同人が死亡した後も、訴外井上の生活が成り立つようにすること、(2)訴外井上を保護するため、同人の隣家に居住している訴外塩生も生活できるようにすること、(3)相続税の支払を少なくすることを検討するよう求めて、遺言書の作成を依頼した。そこで、被告からの助言を交えて、訴外勝馬らが話し合った結果、訴外塩生が以前から買い取ることを希望していた訴外勝馬所有の本件建物については、遺贈による税金を節減するため、本件遺言の対象とはしないで、訴外勝馬が、訴外塩生に対し、同日、金六〇〇万円で売り渡すこととし(なお、売買契約書は、その後、同年五月二八日頃作成された。)、併せて、同様に、訴外井上が訴外勝馬と同居していた建物(東京都渋谷区恵比寿四丁目三四番七所在 家屋番号三四番 木造瓦葺平家建工場事務所兼居宅 床面積66.11平方メートル)についても、訴外勝馬が、訴外井上に対し、同年四月一八日、金二〇〇万円で売り渡すこととした。また、その際、訴外塩生は、右金六〇〇万円だけでは本件遺言の内容等に照らして少ないとして、更に、金一〇〇〇万円の支払を申し出たが、訴外勝馬は、本件建物の売買代金を建築費用相当額である右金六〇〇万円として、それ以上に譲らなかったため、話し合った結果、右金一〇〇〇万円は訴外井上が相続税を支払うときの援助金として、訴外塩生から被告に預け(以下「本件預け金」という。)、その処分を被告に一任することで合意した。

(二)  その後、同月二一日、訴外勝馬は、入院していた都立広尾病院において、被告他一名が証人として立ち合ったうえ、別紙遺言目録記載のとおりの遺言(本件遺言)をし、東京法務局所属公証人坂上吉男によって本件公正証書が作成された(右は概ね当事者間に争いがない。)。

また、同日、本件遺言によって、被告が遺言執行者に指定された(右事実は当事者間に争いがない。)。

(三)  同年六月一〇日、訴外塩生は、本件建物の売買代金六〇〇万円及び本件預け金一〇〇〇万円の合計金一六〇〇万円を被告事務所に持参し、被告が右金員を保管することとなったが、その後、右金員のうち、金六〇〇万円については中央信用金庫の訴外勝馬代理人被告名義の定期預金として、金一〇〇〇万円については第一勧業銀行四谷支店の被告名義の定期預金として、それぞれ預金、保管された。

(四)  訴外勝馬は、同月二七日、死亡し、その後、被告は遺言執行者としての就職を承諾して、本件遺言の執行事務に当たることとなった(右は概ね当事者間に争いがない。)。そして、訴外勝馬の居宅で行われた四九日の法要の席で、被告は、訴外井上から、訴外勝馬の印鑑、預金通帳、現金等のほか、同人の預金等の内容を記載したメモ(乙第一二号証)を受け取り、訴外勝馬の相続人である原告らに対し、本件遺言の内容及び訴外勝馬の相続財産の概要を発表したが、その際、併せて、原告らには訴外勝馬の有していた現金、預金から諸費用を差し引いた残額が遺贈されたが、諸費用を差し引くと現金、預金は殆ど残る見込みはない旨及び本件建物の売買に際して、売買代金は金六〇〇万円と定められたが、その他に、被告は訴外塩生から金一〇〇〇万円(本件預け金)を訴外井上の相続税の支払等の調整金として預かっている旨告げた。

(五)  その後、被告は、本件遺言の執行事務を行い、訴外勝馬の相続財産のうち、同人の有する現金、預金等について調査した結果、金融機関への預金、被告及び原告鈴木敬子の預り金、訴外井上からの未収代金、現金、公社債の合計額は金二四七八万二二七九円と判明した(右合計額は当事者間に争いがない。)。

ところで、被告は、遺言執行事務を行ううち、原告らの一部から、早期に現金の支払を受けたい旨求められたことに加えて、本件遺言の解釈及びその執行に関して、(1)本件遺言によれば、訴外勝馬の現金、預金は原告らに、また、動産、その他の財産は訴外井上に、それぞれ遺贈されることとなったが、①被告が本件建物の売買代金として保管していた金六〇〇万円、②訴外井上が買い受けた前記(一)記載の建物の未払代金二〇〇万円、③額面約金三〇〇万円の公社債及び④原告鈴木敬子が訴外勝馬から預かったとして被告に差し出した金五八〇万円はそれぞれ現金、預金に含まれるのか、あるいは動産、その他の財産に含まれるのか、(2)本件遺言によれば、原告らは現金、預金から諸費用を差し引いた残額を遺贈されることとなったが、現金、預金から差し引くことができる費用はどの範囲が相当か、(3)本件遺言によれば、現金、預金から差し引くことができる費用に七回忌の費用が挙げられているが、原告らへの遺贈の執行は七回忌まで待つ必要があるのか等について一義的に解釈できず、疑問を抱いたことから、訴外勝馬の相続財産のうち不動産を除くその余の財産について、現金、預金を遺贈された原告らと現金、預金から差し引くことができる諸費用を主に支出していた訴外井上及び同宮原との間で調整して、同人らの間で将来紛争が生じないようにしようと考えた。そして、前記のとおり、訴外勝馬の相続財産のうち現金、預金等の総額は右(1)①ないし④の金員を含めても合計金二四七八万二二七九円であったが、これとは別に、被告は訴外塩生から、訴外井上が相続税を支払うとき等の援助金として金一〇〇〇万円を預かり(本件預け金)、右金員の処分を一任されていたことから、訴外勝馬の相続財産のうちの現金、預金等に、右金一〇〇〇万円をも含めて、調整、解決しようと考え、被告は、原告側の長兄である原告竹内正直と話し合った結果、(1)遺言執行者として、被告は原告らに対して、合計金一六〇〇万円を支払う、(2)原告らの相続税は訴外勝馬の相続財産の中から支払う、(3)原告らは訴外勝馬の相続財産のうち現金、預金から諸費用を差し引いた後残額が生じても請求しないことで調整、解決する旨合意した。

(六)  そこで、被告は、右(五)の合意に基づいて調整、解決する旨、訴外井上及び同宮原の同意を得た後、「訴外井上及び同宮原(甲)と原告ら(乙)との間に訴外勝馬の相続財産について左記のとおり協議が成立した。一、遺産のうち金一六〇〇万円及び乙の相続税については乙の分とし、他は甲の分とする。二、甲は税金その他本件公正証書記載の費用が残余の現金及び預金等を超えても乙に請求しない。三、乙も諸費用を差し引き現金及び預金に残余が生じても甲に請求しない。四、祭祀(三回忌、七回忌)については、協力して行い、原則として甲が費用を負担する。」、「遺言執行者は右協議の成立を了承した。」旨を内容とする覚書と題する書面(甲第二号証。以下「本件覚書」という。)を作成して、被告が押印し、訴外井上及び同宮原が署名、押印のうえ、同年一二月一二日、原告らの押印等を求める旨記載した書簡(乙第二号証)とともに、原告竹内正直に送付した。

なお、被告は、相続税を申告するため、同年一一月頃には、訴外勝馬の相続財産についての決算報告書を作成していたことから、右書簡中に、併せて、必要があれば財産目録を送付する旨記載し、原告らの意向を確かめた。

(七)  本件覚書は、原告竹内正直が受け取った後、各原告がそれぞれ署名、押印して、同月二五日頃、被告に送り返されたが、この間、原告らのなかに、本件覚書について、被告に対して、その趣旨を質したり、異議を述べたりする者はなかった。また、その頃、原告らから、被告に対して、金一六〇〇万円の原告ら各自の取得分(原告鈴木敬子は金五五〇万円、その余の原告らは各金一五〇万円)及び各原告宛の振込先が通知された。

(八)被告は、同月二八日頃、本件覚書及び右(七)の原告らからの通知に基づいて、原告鈴木敬子に対して金五五〇万円、その余の原告らに対して各金一五〇万円をそれぞれ振込送金し、また、同日頃、原告ら及び訴外井上らの相続税金三〇二万円を、翌五九年一二月一三日、相続税の修正申告に伴い原告ら及び訴外井上らの相続税の増加分金九一万一四〇〇円をそれぞれ支払った。

以上の各事実が認められ、〈証拠〉に照らし措信することができず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

右認定した事実によれば、本件覚書によって、昭和五八年一二月頃、原告らと本件遺言の受遺者である訴外井上らとの間で、訴外勝馬の相続財産のうち同人が所有していた不動産を除く現金、預金等の財産について、原告らは合計金一六〇〇万円及び原告らの相続税課税額分を、訴外井上らはその余の財産をそれぞれ取得し、原告らは合計一六〇〇万円及び各自の相続税の支払を受ける代わりに、現金、預金から諸費用を差し引き相続財産に残余が生じても訴外井上らに請求しない旨合意し(以下「本件合意」という。)、遺言執行者である被告も本件合意を承認したこと及び本件合意に基づいて、被告は原告らに対し、前記のとおり、同月二八日頃、合計金一六〇〇万円を支払い、同日頃及び翌五九年一二月一三日頃、原告らに課税された相続税を支払ったことが認められ(右認定を覆すに足りる証拠はない。)、右事実及び前記認定した事実を総合すると、原告らは、本件合意によって、右合計一六〇〇万円及び各自の相続税の支払を受ける代わりに、原告らが受遺者として本件遺言に基づき、あるいは相続人としてその財産を相続したことに基づき、それぞれ遺言執行者に対して引渡を請求することができる訴外勝馬の相続財産のうち現金、預金等の財産について、その請求を放棄する旨意思表示したことを認めることができる。

2  次に、本件合意の効力について検討する。

民法一〇一三条は、「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできない。」と規定し、相続人が、遺言執行者によって管理されるべき相続財産を処分した場合には、その処分行為は無効であると解されるところ(最高裁第一小法廷昭和六二年四月二三日判決民集四一巻三号四七四頁)、本件合意は、前記二1(五)で認定したとおり、本件遺言の解釈及び執行上の問題点を調整、解決するため、遺言執行者が働きかけてなされたものであるが、本件合意によって原告らが相続財産から取得する合計金一六〇〇万円及び原告らの相続税課税額の合計額が、本件遺言で原告らに遺贈された現金、預金から諸費用を差し引いた残額を超えるとすれば、本件遺言によって訴外井上に遺贈された動産その他の財産が減少する結果となるから、本件合意及びこれに基づく右金員の支払は、民法一〇一三条に規定する相続人による相続財産の処分行為に該当すると解する余地がある。しかしながら、右民法の規定は、遺言者の意思を尊重すべきものとし、相続人の処分行為による相続財産の減少を防止して、遺言執行者をして遺言の公正な実現を図らせる目的に出たものであるから、右規定にいう相続人の処分行為に該当するかのごとく解せられる場合であっても、本件のように、相続人間の合意の内容が遺言の趣旨を基本的に没却するものでなく、かつ、遺言執行者が予めこれに同意したうえ、相続人の処分行為に利害関係を有する相続財産の受遺者との間で合意し、右合意に基づく履行として、相続人の処分行為がなされた場合には、もはや右規定の目的に反するものとはいえず、その効力を否定する必要はないと解せられるのであって、結局、本件合意は無効ということはできない。

3  よって、被告の抗弁1は理由がある。

三以上の事実によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも失当であるから、棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官岩佐善巳 裁判官岩田眞 裁判官小池一利)

別紙遺言目録

一 私は受遺者井上いはほに対し私所有の左記財産(土地及び動産等)を遺贈します。

一 土地の所在 東京都渋谷区恵比寿四丁目三四番

イ 地番 三四番二〇号

地目 宅地

地積 41.56平方メートル

ロ 地番 三四番二一号

地目 宅地

地積 75.62平方メートル

一 右の土地に隣接する私道部分

一 動産その他の財産

一 私は受遺者井上いはほ受遺者宮原孝子の両名に対し私有の左記財産(土地等)を遺贈します。

一 土地の所在 東京都渋谷区恵比寿四丁目三四番

地番 三四番七

地目 宅地

地積 167.11平方メートル

のうち、右受遺者両名共同所有の木造瓦葺平家建工場事務所兼居宅(右同所家屋番号三四床面積66.11平方メートル)の敷地部分約143.00平方メートル

一 有限会社晃陽の四〇万円の出資持分(二〇万円宛)

一 私は受遺者塩生忠に対し私所有の左記土地を遺贈します。

一 土地の所在 東京都渋谷区恵比寿四丁目三四番

地番 三四番七

地目 宅地

地積 167.11平方メートル

のうち、塩生忠所有の木鉄骨造陸屋根スレート葺三階建工場居宅車庫の建物(右同所家屋番号三四番七の二床面積一階13.12平方メートル二階49.67平方メートル三階27.76平方メートル)の敷地部分86.73平方メートル

一 私は受遺者塩生忠受遺者黒田広の両名に対し私の所有する有限会社東陽ウエルズ研究所の二〇万円の出資部分(各一〇万円宛)を遺贈します。

一 私所有の現金、預金については葬儀費用(七回忌までの費用を含む)土地分筆登記に要する費用、井上いはほに対する所有権移転費用及び不動産所得税支払のための費用、遺言執行に関する費用、遺言執行者への報酬を差し引いた後、残があれば私の兄亡竹内直光の子供達八人に平等に遺贈します。

一 私が遺贈する土地はいずれも底地権である。

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